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2011年05月21日

岡崎Libraへ行ってみた(2010年11月5日の記事:再録)

2010年11月5日/ドラマーな建築家の日々

ちょっと前の話だが、9月の上旬、ひとりで岡崎のLibra(岡崎市図書館交流プラザ)に出かけた。
Libraは平成11年度の岡崎市中心市街地活性化基本計画に端を発する生涯学習複合施設で平成20年11月1日に開館し、22年の9月5日に入場者数300万人に達した中心市街地活性化の超成功事例だ。1ヶ月に13万6千人(1日4400人以上)がここに来ている。
同じ平成11年、浜松市も第1次浜松市中心市街地活性化計画というのを策定し、いろいろ頑張ったものの「全く効果ナシ!」という結果に終わっている。
この違いは何か?
それを確かめたくて、僕はLibraに乗り込んでみた。
Libraに着くと平日の日中にもかかわらず、いきなり駐車場が満車。
岡崎Libraへ行ってみた(2010年11月5日の記事:再録)
ぐるぐる回ってやっと入った近くの民間の駐車場もほとんど満車。Libra利用者は無条件で3時間無料だそうだ。
Libraの中に入ると内田修ジャズコレクション展示室がまず目に入る。本当はこれが一番見たかった。内田修さんはJAZZファンであれば知らない人はいない超有名なコレクターでありパトロンだ。
岡崎Libraへ行ってみた(2010年11月5日の記事:再録)
ここでしか聴けない貴重な音源の数々。わが師、森山威男のコメントも聞ける。内田さんには本当に感謝の言葉しかない。
時間があればじっくり滞在し、さまざまな音源を聴き込みたいところなれど、後ろ髪を引かれつつ図書館へ。
岡崎Libraへ行ってみた(2010年11月5日の記事:再録)
おー、いるいる。たくさんの人が何か読んでる。このネット社会においても人々は図書館という施設を必要としているのだ。何となく嬉しい。
岡崎Libraへ行ってみた(2010年11月5日の記事:再録)
公共施設なのでこのようにパビリオン的な要素もあったりする。
岡崎Libraへ行ってみた(2010年11月5日の記事:再録)
これはやはり「駐車場3時間無料」が圧倒的に効いてる感じだ。そこで僕はこの人出が街の活性化にどのような形となって表れているかを見るために外へ出た。
Libraを出て右に曲がるとすぐに康生通り。名前からもわかるように家康にちなんだ昔からの城下町通りだ。いわば浜松の姉妹街のような場所と言える。行ってみて驚いた。こんな感じだ。
岡崎Libraへ行ってみた(2010年11月5日の記事:再録)
あまりにも人がいなさ過ぎて、通りのど真ん中でも写真が撮れるほどだ。
岡崎Libraへ行ってみた(2010年11月5日の記事:再録)
この右手に写っているのは松坂屋。今年の1月31日閉店した。
これはいったいどういうことであろうか?
僕は康生通りをたくさんの人が歩いていて賑わっているものとばかり思っていた。そしてこの同じ家康の街の成功例を浜松市民に知らせなくては、と屈辱感を押し殺してここへ来た。
4400人はどこへ行ったんだろうか?
近くのシビコというデパートへ入ってみた。
岡崎Libraへ行ってみた(2010年11月5日の記事:再録)岡崎Libraへ行ってみた(2010年11月5日の記事:再録)
6階建ぐらいの規模のようだが5階と6階には電気は付いていなかった。
あとで帰宅してから調べてわかったが、先ほど僕が車を入れた建物はセルビという建物でれっきとしたショッピングセンターらしい。2001年にコンプマートがここにオープンしたという記事を発見したが、今はもう無い。
松坂屋、シビコ、セルビ。どこにも4400人は行っていない。
僕はたまたまセルビからでてきた20代ぐらいの男性に「この辺で一番繁華街はどこですか」と聞いてみた。帰ってきた答えは「この辺ですかね。それか、イオン。」
同じだ。浜松とまったく同じだ。岡崎はもっと進んでしまっている。Libraが大成功を遂げているにもかかわらず商店街は全くその恩恵を受けられず、勝負は決してしまった感がある。
もっと時間をかけて大規模に街の形を根本から作り直し、Libraの人出を商店街に流す仕組みが必要だ。
それにしてもLibraの目の前のセルビにおいて、駐車場は満車なのにショッピングセンターとして機能していないという現象をどう考えるか?
浜松において似たようなケースをさがすとZAZAが思い浮かぶ。ZAZA中央館6,7階の「子ども館」は昨年167,736人の利用者があった。この数字は楽器博物館が86,512人であることを考えると決して悪く無い。にもかかわらずZAZAの経営は苦戦を強いられている。これをどう分析するか?
岡崎市民は車でLibraにやってきて、車に乗ってそのままイオンに行き、買い物をして帰る、というのが行動パターンのようだ。
一方「子ども館」をよく利用する若いお母さんに話を聞いてみると、当然のように駐車場からエレベーターで「子ども館」に直行し、帰りはその逆だそうだ。「ZAZAには寄らないの?」と聞いてみると「欲しいものがあれば寄るけど、中央館には無い。トイザラスには行くけど。」とばっさりだ。
市民というのは目的がはっきりしている。家を出る前からその日の行動スケジュールを組み立てている。康生通りを歩いてみようか、などという気は初めからまったくない。
イオンはよく考えられている。「雨に強い。」「バリアフリー。」「何でもある。」「駐車場無料。」ユーザーの心理を実によく研究している。選ばれて当然なのだ。
中心市街地の活性化に関して、岡崎市民は浜松市民よりも優れた団結力と行動力を発揮し、Libraという大集客施設を結実させた。その岡崎市民が「やっぱり康生地区よりイオンだわ。」という選択をしている事実はとても重い。

市民ではなく、観光客はどうであろうか?
うなぎパイファクトリーに昨年は53万人が来たそうだ。これは当然浜松市民だけではなかろう。入場は無料。中のサロンや売店でお金を使ってね、という仕組みだ。この人出がいつまで続くかわからないけれど、何か観光客の心を掴むものが必ずあるのだろう。
観光客は鉄道や観光バスで来ることが多い。つまり、歩くということだ。そして何か買うもの、あるいは食べるものを物色する。そして彼等はイオンには無いものを求めている。中心街に人を集めようと思ったら、イオンとの勝負を避けるに限る。

賢明な岡崎市民でさえ、この深刻な事態を克服できてはいない。これは当然岡崎市民のせいでも岡崎市のせいでもない。世の中の変化にどう適応するか、という極めて難しい国家的命題なのだ。
「市が悪い」「商店街がやる気無い」「デベロッパーが強引だ」「地権者が強欲だ」などと言い合ってるのは本当に無意味だ。不毛としか言いようがない。
僕たちは岡崎の事象を分析し、自分達のすべきこと、目指す道を確実に見定めなくてはならない。みんなでね。

今回の岡崎行で学んだこと二つ。
「図書館はとんでもなく人が集まる。」
「集めるなら市民よりも観光客。」





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Posted by はままつ未来会議事務局 at 13:32│Comments(0)中心市街地活性化
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