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2011年05月21日

音楽の街(2007年5月31日の記事:再録)

2007年05月31日/浜松・日本未来研究会ブログより


浜北地区にサンストリート浜北が出来ようとしています。志都呂や市野のイオン同様大型のショッピングモールになる予定です。さらにここにはシネマコンプレックスが入っていて、駐車場はおそらく無料のはずです。浜松中心街のみが持っていた求心力がまたひとつ無くなるわけです。浜松市の重心は若干北上するのではないかと私は思います。

浜松中心部に行くと昔の面影はまったくなく、非常に閑散としています。それはたしかに寂しい光景ですが、一方で賑やかになっている地区が郊外に増え市民の利便は向上していると言えるでしょう。広い平野に拡散して住民が住んでいる浜松という都市で現在のような状態はやむを得ないのではないでしょうか。

仮に浜松中心部が何か市民の購買意欲をそそる秘密兵器を装備し復活したとしても、どこかのショッピングモールが廃れるわけで、その廃れたショッピングモールに関わる市民にとっては深刻な問題です。

要するに浜松市民の全体の購買力は変わらないのです。いやむしろ人口が減少していくにつれ購買力も下降すると考えるのが普通ではないでしょうか。そのことを強く意識しなければこの問題は解決しないと思います。

私達が若い頃浜松市の中心は松菱と遠鉄名店ビルでした。いまは二つともありません。そのうえ西武も丸井も無くなりました。ZAZAは大赤字で問題になっています。おそらく都市人口にふさわしい商圏規模を見込んで多くの百貨店が建ったはずですが、市民の購買力はそれほどでもなかったわけです。浜松は広い。郊外の人にとって中心部はあまりに遠いのです。

ではなぜメイワンと遠鉄百貨店は賑わっているのでしょうか?答は「交通の要だから」だと私は思います。遠州鉄道とJRの中継地点だからです。松菱と遠鉄名店ビルが反映していた頃新浜松駅と浜松駅は只の駅でした。通過するだけだったわけです。昔は郊外から浜松の中心部へ行く人は「遠州病院前」で降りていました。遠鉄最大の駅だったと記憶しています。人々は鍛冶町と遠州病院前を往来していました。

静岡市へ行くと街の賑やかさが非常に健全な感じがします。休日の百貨店はどこも人があふれています。この理由はなんでしょうか?

ひとつは郊外に大型ショッピングモールが無い、ということでしょう。しかしもうひとつ大事なポイントは静岡駅と新静岡駅が適度に離れていて人々がその間を往来する、という都市の構造にあると思います。浜松もかつてはそうでした。そしてその頃の浜松は中心部は繁栄していたのです。浜松は交通の要と既存の中心街が離れすぎてしまったため、現在のようないびつな都市形態になってしまったのだと私は思います。

私は浜松市の中心街に浜松市民を取り戻すことは非常に困難だと思っています。一番効果があるのは「すべての駐車場を無料にする」ということだと思いますが、現実的ではないでしょう。それに前述したように中心部が栄えるということは郊外のどこかが寂れているということを心に留めておく必要があると思います。

では、現状を受け入れて我慢するべきでしょうか?それではあまりにネガティブですよね。

話になりません。

私の答は「市外から人を呼び込む」です。

市内の購買力は限界があります。それは過去の商店の盛衰を見ても明らかです。浜松市民全体が急に裕福になったりするわけは無いのです。購買力全体を上げるためには市外から浜松へ人を呼び込むしか方法はありません。

市外から人を呼び込むためにはどうすべきでしょうか?松菱あとに大丸を入れれば集まるでしょうか?

人は「そこにしかない魅力」に惹かれて集まってきます。全国からディズニーランドへ人々がやってくるのはあのような遊園地は日本にあそこにしかないからです。決して全国からパルパルに遊びに来たりはしません。パルパルのような遊園地は割と近くにあるからです。

全国から浜松に人が集まる「仕掛け」が必要です。

そのような都市はどういう都市でしょうか?ひとつは「観光」ですよね。歴史的名所や自然を目玉にしてPRする手法です。しかし残念ながら浜松にはこれといって遠くからでも見に行きたくなるような観光スポットはありません。もうひとつは「人工遊園地」です。ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンのような超大型娯楽施設を建設する方法ですが、これは全国に山のように失敗例があって、むしろ「それだけはやめた方が無難」という手法だと言えるくらいです。

そこで私が思いついたのは「音楽の街」です。

なーんだそんなこと以前から取り組んでるよ、という声が聞こえてきそうです。たしかに浜松は他の地域に比べて音楽的環境は恵まれていると思います。しかし、それは全国から人を呼び込むほどの力にはなっていないし、それを目指してもいないと思います。

私が提唱するのはもっと産業を意識した強力な体制作りです。世界中の音楽を愛する人々が「浜松に行ってみたい」と思うような街にしようという構想です。

完成されたその理想都市の姿を描いてみましょう。

・世界中の音楽を志す若者が「そこで音楽を学びたい」と思うような学校が複数ある。

・街のあちこちで音楽が聴こえ、音楽が生活の一部になっている。

・あらゆるジャンルの楽器を試奏し購入しメンテナンスできる。

・子供達は皆、小さい頃から豊かな音楽教育を受けていて歌ったり演奏したりすることが自然なことになっている。

・世界中の様々な音楽を聴くことが出来る施設や店が街のあちこちに在る。

・世界的な音楽祭が定期的に開かれ、ミュージシャンはみな浜松で演奏したい、と思っている。

・音楽を練習するスペースや設備が無料もしくは低価格で利用できる。

・高名な音楽家が多数定住している。

・音楽研究所が公設されている。

どうでしょうか?いいと思いませんか?そんな街、日本には無いですよね。でももし成れるとしたら浜松が最有力でしょう?既に世界的な楽器の街として有名なわけですから。実際ヤマハや河合やローランドには全国から音楽好きな若者が就職していて、浜松の音楽シーンの一部を形成しています。

これらのことを実現するためにもっと具体的な政策を立てていく必要があると思いますが、それを挙げていると膨大な文章になってしまいます。いずれにしても行政と市民が一体になって取り組まなければ実現は出来ませんね。

こんなことを目指したら形になるには10年や20年掛ってしまうと思いますが、目指していなければ永遠に成りません。そして成し遂げられれば圧倒的な競争力となって世界の人々を呼び寄せられると思います。

もちろん、浜松の中心街は商売の形態を変化させていなければならないでしょう。何かにつけ音楽的な工夫が求められるかもしれません。興味のない人にはしんどい話かも知れません。だけど、仮に全商店主の1/3の方々が同意して、一つの方向へと行動を起こし始めたらそれだけでも浜松の魅力は随分とアップすると思うのですが。

時間が掛る話ですが、そういう試みをしない限り現状は好転しないと私は考えています。「そこにしかない魅力」を作り出せない限り浜松の中心街は復活できない、と思います。浜松の「そこにしかない魅力」って「音楽」以上に適してるものを私は見つけられません。少なくともどこの都市よりも実現できる確率は高いと思いませんか?


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Posted by はままつ未来会議事務局 at 12:45│Comments(0)中心市街地活性化
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